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ところで、星の王子さま!
あの、バオバブの木は、どうなっていますか?
ええ、その芽をひつじに食べさせています。
以前、大きくなって、大変だったと聞きましたが?
ええ、とくに、戦争のあとは、大きくたくさんはびこって、大変でした!
ひとりぼっちの小さい星に住むようになってからは、その芽をひつじに食べさせています。
ひつじは、バラも食べてしまうとか?
ええ、だから、今もいばらの枝の囲いで囲っています。
星の王子さまは、なぜ、ひとりぼっちの小さい星に住むようになったのですか?
それは、大きな戦争があって、それはもうひどいものでした。なにしろ、ボタンの押し合いだけで、中性子がとびかい、生き物で無防備なものはすべて殺されました。ボタンといってもバーチャルなんですが、その戦争後、生きのこった人たちは、その戦争前までは、ほんの一部の人しか住もうとしなかったひとりぼっちの星に、それぞれの人がそれぞれに、それもごく自然に、住むようになったんです。いろいろ体験し、たくさんのことがわかってくると、ひとりでいるほうがより自由で、知らないことや、やりたいことが、ボタンひとつでわかったりやれたりしますから、窓を大きく開けておけば、これほど居心地のよいこともないので、それで、僕の星では、ほとんどの人が大きく窓を開けたひとりぼっちの星に住むようになりました。
それですと、お隣とのお付き合いは・・・?
ええ、隣といってもバーチャルですとみんな隣なんですが、ドアをノックしてくれれば、開けて握手もできます。
でも、窓が小さかったり、ドアに鍵をかけたままで、ほんとのひとりぼっちになったりしませんか?
ええ、いろいろありますから、窓もドアも、開けっ放しのときもありますし、窓もドアも、閉めて鍵をかけるときもあります。
みんなで何かを決めなければならないときは、どうしますか?
ええ、たいがいは、大きな窓ですませます。その窓から、たいがいの情報、つまり、五感を満たすたいがいの情報が入ってきますから、たいがいのことは、これですませます。
犯罪や警察なんかは?
ええ、たいがいは、大きな窓でのやりとりで、ボタン操作ということになります。
恋愛とか結婚とか家族とかは?
ええ、これもたいがいは大きな窓でのやりとりです。
何か味気ないような・・・?
さきほども言いましたとおり、大きな窓から、たいがいの情報、つまり、五感を満たすたいがいの情報が入ってきますから、たいがいのことは、これですますことができます。
すると、昔、映画にあったような、マトリックス状態に・・・?
ええ、それが一番やっかいな問題で、僕たちの星々は絶えず大きな窓で情報を共有しながら、そのマトリックスが深刻な問題にならないように、お互いに気をつけています。
窓からの情報か、ドアからの情報か、区別がつかなくなる・・・?
ええ、実際、つきにくいんですが、そのために綿密なプログラムが用意いされていて、そのプログラムの管理が、僕たちの星々の最優先事項になっています。実は、最後の戦争も、そのマトリックスと宗教を、これは本来マトリックスに陥りやすいものですが、官僚主義が悪用して引き起こしたもので、官僚主義にとっては、マトリックスと宗教ほど有用なシステムはないので、僕たちも警戒はしていたのですが、歴史がものがたるように、宗教(信じるということ)を利用して情報の寡占(かせん)と操作が徐々に進み、そのうえ、大きく開かれた窓はまだまだ少なく、システム上の限界ともかさなって、気づいたときには、大多数の人々が洗脳され手遅れの状態でした。その手痛い経験から人々は大きく開かれた窓を進んで持つようになり、今では、情報の寡占による操作の心配は、ほとんどなくなりました。
日本でも宗教を利用している政治家達が、地元で、豪華な橋や道路や、銀行まで、無駄につくって、膨大な税金や献金で、票や私腹をこやしているのがいますが、・・・
ところで、
プライバシーの問題はどうなりますか?
ええ、窓にもドアにも鍵をかけて、プライバシーは守るのですが、官僚主義も不正もプライバシーを利用しますから、将来おこるであろうことの重要性にしたがって、プライバシーにフィルターをかけておきます。そのフィルター処理でプライバシーの透明度が決まりますので、さほど公的に重要でないプライバシーのことで気をもむこともなくなりました。これはコンピューター管理による息苦しさを少しでも解消しようとするシステム上の技術で、ほかにも、より自由な空気を吸えるようプログラムは絶えず更新されています。
そのプログラムの更新は、絶大な権力に成りかねないのでは?
ええ、そのプログラムの更新は、ほとんどすべての人々がその権利を持つことで、あとはその行使の手順に、またほとんどすべての人の意思が反映するように、その手続きもまた最良であるように、そのプログラムも絶えず更新されています。当然、そこでも、より能力のあるものが、その影響下の全生命に対して、より重い責任と義務とを負っています。
教育とか生産も、当然、コンピュータ管理なんでしょうね?
ええ、ほとんどすべて、そうなんですが、さきほどのプライバシーのフィルターのように、より自由な環境であるよう、より自由な手段で整備されています。
すると、自然環境も、当然、常に最良ということでしょうか?
ええ、環境破壊の最たるものは戦争ですが、最後の戦争があまりにもひどいものしたので、その対策には万全を、現時点での最善のプログラムが用意されていて、ひごろの環境に対しての取り組みも、常に、現時点で最良です。
生き物たちも元気なんでしょうね?
ええ、みんな元気です。
哲学とか宗教とかの精神面は?
ええ、活発です。知識が増えれば増えるほど、技術が発達すればするほど、それをコントロールする精神面も活発にならざるを得ませんから。戦争の多くはその精神面の無知、脆弱(ぜいじゃく)さに よるものなので、その精神面も活発にならざるを得ません。
どういった哲学、宗教なんでしょうか?
精神情報は、その時代特有のもの、つまり、その時代に合ったものしか出てきませんから、たとえば、中世の人にテレビの原理を説明してもかえって混乱しますし、真実(ほんとうのこと)は、あの象を飲み込んだうわばみのように、見えないものです。
それはわかりますが、なにか、ヒントになるようなことでも・・・?
ええ、そのまえに、さきほど話しました官僚主義と宗教には、特に気をつけなければなりません。どちらもコンピュータ管理のバーチャル世界ではよほど気をつけませんと、そのマトリックスにより、大多数の善人たちが巨悪の破壊を許すようになってしまいます。そのことを一部の覚醒者、正義の人がいくら指摘しても、善人の集まりと信じきっている彼らは、かえって、その覚醒者、正義の人を善を破壊する悪魔とののしり、うけつけません。彼らの日常は善良なんですが、その狂信は、巨悪の破壊を産み出すもとになりますから、一部の極悪者よりも、さらに、たちの悪いものです。
たしかに、宗教は、官僚主義ともマトリックスともなじみやすく、巨悪や戦争では、時代と場所での変容はありますが、特に重要なはたらきをしますから、注意が必要ですね。
ええ、宗教(信じるということ)は、不合理を合理と思わせ信じさせますから、たくさんの善人たちの狂信を生み、巨悪や戦争での破壊を容易にさせます。
しかし、どんなに文明が発達しても、宗教(信じるということ)はなくならないでしょうね。
ええ、文明が生命の進化の営みである以上、宗教(信じるということ)はなくなりません。
親が子を思う(愛する、信じる)、子が親を思う(愛する、信じる)、生命(いのち)が生命(いのち)を思う(愛する、信じる)、というのが原点ですから。
(2008.03.14)
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