森で
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
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タン、タ、タン。
タン、タン、タン。
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隊長、今日はやけに苦しいんですが。
援軍はいつ来るんでしょう。
バカ！ また、弱音を吐いているか！
我が帝国陸軍は、気を付け！ 畏（かしこ）くも天皇陛下の軍隊である。
援軍が来ようが来まいが、気を付け！ 畏（かしこ）くも天皇陛下の御命令である。
ここは断じて死守せねばならん。
隊長！ また、あいつが来てるんですが。
ほっとけ！ 何度来ても同じだ。我々は降伏などせん！
奴に、騙されるな！
”おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
いや、私はここに残ります。
この人たちと一緒にここに残ります。”
隊長！ 是非隊長と直かにまた話しがしたいと、そこまで来ていますが。
何度来ても同じだ。我々は降伏などせん！ 追い返せ！
隊長、それにしても今日はやけに苦しいんですが。
援軍はいつ来るんでしょう。
バカ！ また、弱音を吐いているか！
我が帝国陸軍は、気を付け！ 畏（かしこ）くも天皇陛下の軍隊である。
援軍が来ようが来まいが、気を付け！ 畏（かしこ）くも天皇陛下の御命令である。
ここは断じて死守せねばならない。
隊長！ また、あいつが来てるんですが。
ほっとけ！ 何度来ても同じだ。我々は降伏などせん！
奴に、騙されるな！
”おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
いや、私はここに残ります。
この人たちと一緒にここに残ります。”
うるさいぞ！ そのオオムを黙らせろ！
それにしても、随分長いこと、ここを死守してきたけれど、
敵の姿を見たことがない。
隊長も同じことをいつも繰り返すだけだし、
連隊長はずっと前で背中を向けたままだ。
その先には師団長が、さらに先には、軍参謀長、少将、中将、大将と
ほとんどのお偉方が後ろを向いたままじっとしている。
中にはたくさんの勲章をつけて分厚いコートを着たのが時々こちらを見上げ返すが、
あとはみんな野暮ったいよれよれの服を着て後ろを向いたままだ。
俺なんか、頭にきてるんだ！ 奴等のせいで、こんな苦しい思いをしている！
だから俺はあの禿頭を時々叩くんだ。
ほんとか！ あれは総大将だぞ！
ああ！ 叩いてもびくともしないや。ほかの奴等も同じだぜ。
隣の奴も、その向こうも。なんなら試してみな、みんなやってるよ。
いや、そんなことは私にはできません。
ほら、また叩かれている。 どうだい、ぴくりともしないだろう。
でも、あの勲章だらけの分厚いコートを着た奴等はだめだぞ。
奴等はおいらと同じに生きていて、時々こっちを睨むんだ。
”おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
いや、私はここに残ります。
この人たちと一緒にここに残ります。”
水島さん！ その肩のオオム、よく喋りますね。
終わりのほうはあまりよく聞き取れないんですが、...。
ええ、私の戦友が一生懸命仕込んだようです、...。
水島さんは、どうしてあんなに隊長に嫌われているのに、
毎日のようにここに来るんですか。
それは、、
おい！ だめだぞ！ そいつの話を聞いちゃ！ みんな殺される！
隊長も言ったろ、そいつは疫病神だ！
そいつの話を聞いたらお前もあの総大将のようになっちまうぞ！
でも私にはそんな悪い人には見えないんですが。
水島さん！ あなたとお話するとみんな死んだようになるというのはほんとですか。
ええ、ほんとうです。
”おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
おーい！ 水島！ 一緒に日本へ帰ろうよ。
いや、私はここに残ります。
この人たちと一緒にここに残ります。”