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森で

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。













タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



畜生! なんでこんなに苦しいんだ!
俺は悪くない! ”戦争”が悪いんだ!
俺はお国の為に殺した。そこのどこが悪い。
”戦争”なんだぞ! 殺るか殺られるかだ!
あの民間人の男は敵をかくまった。だから首を切った。
あの串刺しにした子供は見せしめだ。
家(や)捜しで探すのはまず女だ。
俺だっていつ死ぬか分からない、死ぬ前にいい思いもしたいってもんさ。
ここは戦場なんだぜ! みんな狂ってるんだ! みんな”戦争”がさせているんだ!
俺は悪くない! 悪くったって、こいつら皆殺しだからわかりゃしない!
わかったって、俺はわるくない! ”戦争”がそうさせたんだ!
俺達は命令で殺ってるんだ。
戦場に人間なんていやしない。かえって邪魔だ。
いるのは畜生以下の”鬼”だけだ。戦場には”鬼”が必要なんだ。
”鬼”が何をするか。平気で人を殺し、
子供を殺し、女を嬲(なぶ)り殺しにする。
酒が入ったらなおひどい!
戦争がながびけばながびくほど、なおひどい!

こんな目にあわせたあいつ等が憎らしい!
だから、俺はいつもあいつ等のあのいがぐり頭を叩くんだ!



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



紳士のような”戦争”があると思い込んでいるボンクラ達がいる。
残虐な”戦争”のイメージはデッチアゲと主張するボンクラ達がいる。
残虐でハレンチな行為をした者達が自分達の家族に愛する人に
その事実を隠さずに話せると思うのか。
”戦争”の場合は特に被害の記憶は被害者とその家族、つまり被害者側にくっきりと残り、
加害者の家族、加害者側にはほとんど残らない。
だから被害者側の声は、写真を突きつけられても、
”戦争”のほんの一部の一握りの者達のことだと加害者側は思い込む。
紳士のような”戦争”があると思い込んでいるボンクラ達がいる。
残虐な”戦争”のイメージはデッチアゲと主張するボンクラ達がいる。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



私は捕虜を実験に使い殺しました。
他の人たちはどうか知りませんが、
私は敵兵に遭遇して銃で撃って殺すのと変わりないことだと思っています。
つまり、”戦争”がさせたということです。
ですから”国家”の責任は問えても個人の責任は問えないと思います。
私は道義的に悪いこととは思っていますが、法的には無罪です。

私は確かに民間人を殺しました。
しかし、戦時下、上官の命令は絶対ですから拒否できませんでした。
私は道義的に悪いこととは思っていますが、法的には無罪です。

私は、戦時中、言葉では言えない”鬼”のようなことをしました。
文字どおりその時は”人間”ではなかったのです。
しかし、私は道義的にも法的にも 自分は有罪だと思っています。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



俺達は待っているんだ。援軍がきっと助けに来てくれる。
この苦しみから解放してくれる。
援軍の指揮官はまず、こう言ってくれるんだ。
ご苦労様!大変だったろう!皆さんは悪くありません!
”国家”のために”誠”をつくされたのです。
”戦争”で起きたすべての悲惨は、”戦争”が引き起こしたもので、
皆さんは悪くありません。
(もちろん、こうしてみなさんに”誠”をつくしている”国家”は金輪際悪くありませんよね。
・・・ソノトキハマタヨロシク・・・
どうぞ、安らかに、お休みください。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



でも、この前も、ピカピカの勲章と分厚いコートを着込んだ”国家”のお偉い人がやってきて、
いかにも”哀悼の意”を捧げるって感じで、同じようなことを言って、
”国家”のピカピカの勲章と軍服と上出来の分厚いコートを着せてくれたけれど、
少しも楽にならなかった。かえって前よりも苦しくなった。
勲章は胸に突き刺さるし、軍服と分厚いコートは熱くて鉛のように重い。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



確かに、今は苦しいよ。
でも、俺達は悪くない。お国の為に犠牲になったんだ。
必ず、ここから抜け出せる。偉い人がピカピカの勲章と軍服を持ってきて、
俺達の”国家”に捧げた”誠”を”誠”でこたえてくれる。
その時は晴々と英雄としてここから出られるんだ。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



俺達は待っているんだ。援軍がきっと助けに来てくれる。
この苦しみから解放してくれる。
援軍の指揮官はまず、こう言ってくれるんだ。
ご苦労様!大変だったろう!皆さんは悪くありません!
”国家”のために”誠”をつくされたのです。
”戦争”で起きたすべての悲惨は、”戦争”が引き起こしたもので、
皆さんは悪くありません。
(もちろん、こうしてみなさんに”誠”をつくしている”国家”は金輪際悪くありませんよね。
・・・ソノトキハマタヨロシク・・・
どうぞ、安らかに、お休みください。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



でも、この前も、ピカピカの勲章と分厚いコートを着込んだ”国家”のお偉い人がやってきて、
いかにも”哀悼の意”を捧げるって感じで、同じようなことを言って、
”国家”のピカピカの勲章と軍服と上出来の分厚いコートを着せてくれたけれど、
少しも楽にならなかった。かえって前よりも苦しくなった。
勲章は胸に突き刺さるし、軍服と分厚いコートは熱くて鉛のように重い。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



確かに、今は苦しいよ。
でも、俺達は悪くない。お国の為に犠牲になったんだ。
必ず、ここから抜け出せる。偉い人がピカピカの勲章と軍服を持ってきて、
俺達の”国家”に捧げた”誠”を”誠”でこたえてくれる。
その時は晴々と英雄としてここから出られるんだ。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



俺達は待っているんだ。援軍がきっと助けに来てくれる。
この苦しみから解放してくれる。
援軍の指揮官はまず、こう言ってくれるんだ。
ご苦労様!大変だったろう!皆さんは悪くありません!
”国家”のために”誠”をつくされたのです。
”戦争”で起きたすべての悲惨は、”戦争”が引き起こしたもので、
皆さんは悪くありません。
(もちろん、こうしてみなさんに”誠”をつくしている”国家”は金輪際悪くありませんよね。
・・・ソノトキハマタヨロシク・・・
どうぞ、安らかに、お休みください。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



でも、この前も、ピカピカの勲章と分厚いコートを着込んだ”国家”のお偉い人がやってきて、
いかにも”哀悼の意”を捧げるって感じで、同じようなことを言って、
”国家”のピカピカの勲章と軍服と上出来の分厚いコートを着せてくれたけれど、
少しも楽にならなかった。かえって前よりも苦しくなった。
勲章は胸に突き刺さるし、軍服と分厚いコートは熱くて鉛のように重い。



タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。

タン、タ、タン。
タン、タン、タン。



(2001.06.29)
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