（徳行品第一、説法品第二、功徳品第三）
| この経の題目の骨子は、 無量の義（解釈、変化相）は一法より生じ、その一法とは無相であり、 四十余年説いてきた経の義はその一法を説明、受持させるための 方便の教えで真実を説いたものではない。（無相である実相の一法は次ぎの法華経において説かれる。） |
| （徳行品第一） |
| この品の題目の骨子は、 生命ソノモノの不可識性と仏界の三身如来のそれぞれの徳行を説く。 すなわち、生命ソノモノとは、有でない、無でない、因でない、縁でない、自他でない、方でない、円でない、 短長でない、出でない、没でない、消滅でない、造でない、起でない、為作でない、坐でない、臥でない、 行住でない、動でない、転でない、閑静でない、進でない、退でない、安己でない、是でない、非でない、 得失でない、彼でない、此でない、去来でない、青でない、黄でない、白でない、紅でない、紫種種の色でない、 等のものである。生命の真理（法則）の最高の優位である法身如来は、 戒、定、慧、解、知見、の因より生じ、その生命の智慧の最高の優位である報身如来は、 三昧、六通、道品の縁より 発し、その生命の境智冥合の最高の優位である応身如来は、慈悲、十力、無畏、の果と、衆生善業の因縁より 起こり出た。その応身如来である仏陀は自在の境涯にあり衆生の機根に応じて四諦、六度、 十二因縁等を説いてきた。 |
| （説法品第二） |
| この品の題目の骨子は、無量義は一法より生じるを説く（説法）。 すなわち、衆生（生命）は一瞬の生滅を繰り返し個々の世界をつくる。（つまり無量の世界、 無量の性欲（ショウヨク）を生じる。） 衆生（生命）の性欲（ショウヨク）が無量であるので説法も無量となり、 その義もまた無量となる。（つまり個々の生命にそれぞれの世界が存在する。）その無量の義は一法より生じ、 その一法とは無相であり、それが実相である。また衆生（生命）は性欲（ショウヨク）が不同（無量）であるので その衆生（生命）の個々の性欲（ショウヨク）にしたがって様々に 法を説いてきた。そのために今まで四十余年説いてきた法のすべては衆生（生命）の個々の 性欲（ショウヨク）にしたがったもので、方便、或は部分観であり真実ではない（未顕真実）。すなわち、 小乗教の阿含経等、大乗教の般若経、 華厳経等の無量義経以前の経のすべての教えは方便、或は部分観である。（小乗教の 無常、無我、滅煩悩等、 華厳経の唯心論、縁起説等、 阿弥陀経の穢土楽土、極楽往生等、大日経の胎蔵界、法身如来、陀羅尼、印形等、般若経の十八空、 般若中論等、 楞伽経の一字不説、如来蔵、一切空等、等々の真理とその修行方法である苦行、瞑想、禅、念仏、 歴劫修行等、 の無量義経以前の経の教えのすべて）。また菩薩はこの無量義の最善の解釈と一法を受持し 慈悲に住して利他行に励むことによってのみ仏陀となることが出来る。 |
| （十功徳品第三） |
| この品の題目の骨子はこの無量義経の十の功徳（利益） を説きこの経の守護、流通（演説）をすすめる。すなわち無量義経は仏陀の慈悲心から生じ 衆生の菩提心を起こさせ菩薩となって利他行に赴かせる。その際、無量義経受持の功徳（利益）として、 もろもろの浄心を起こさせ、無量の義を最善に解釈させ、衆生の苦を解放させ、 諸仏に守護され、衆生を歓喜させ、衆生の煩悩を断じ（明かし）、無上の安心に住し、仏国土を浄め、 衆生を救済し、成仏させる、の十功徳（利益）を持つ。 |
| (1998.6.16) |
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