今の記憶の「私」は、過去の記憶の「私」を食して生きている。

だから釣りをしている時も、なるたけ同じ「私」の魚たちに苦痛を与えないようにと。

だから釣った魚は水の入ったポリ袋に入れ、生きたまま持ち帰りすぐ冷凍する。酸素が心配な時はブクブクをしながら持ち帰る。袋に入らない時はその場でシメる。

この秋熊の異常な出現で熊に襲われた人の話を聞くと、パニクっている時、必死に戦っている時は痛みを感じないと言う、が実際のところはわからない。















そこで最近は大きなものはその場で逃がすようにしている。今日も大きなニゴイが一匹釣れた。トータル四匹目の大きなニゴイ。
























その丸々と太った胴体を両手でつかみ思いっきり川に放り投げたその感触。
















「エィ」!


























































それから数ヶ月後、ある日の朝、雨が上がったので川へ。

川岸のコンクリートの淵はまだ濡れていた。

滑りを気にしながらしばらく釣りをしていると、

「アッ」!























苔に滑って後ろに倒れた!






































































ここは何処!

















水の中?

















苦しい!

















苦しい!

















助けて!

















助けて!

















私は今、数々の「私」の因縁の破壊の苦を受けています!

















助けてください!

















助けてください!



































































すると、あの四匹の大きなニゴイたち!

















泳ぎながら私を誘(いざな)う。








































緑色に輝くたくさんの水藻、何処までも透き通った青い水の中を、その四匹のニゴイたちと一緒に泳ぐ。













































ああ、なんと安らかな!
































ああ、なんと安らかな!








































ありがとう、ニゴイたち!
































ありがとう、ニゴイたち!





















































すると光が!
































その大きな眩しい光が!
































私を包む!
























































ああ、至高の神おわします!

(2023.12.01)
next
back
index
home